Answers
両翼の天使の翼と。
その間にある3枚目の悪魔の羽で。

サラはあたしに気がつくと、一瞬微笑んで、その愛らしい唇を小さく開いた。

〝Happy Birth Day〟

あたしはサラに片手を上げて答えた。
シャラシャラと金銀の腕輪を鳴らして、ステージ脇のエルフがハープを弾いた。

「罪深き血、流れて……」

キャンドルの火に灯されながら、サラは天井を仰いで歌い始めた。

〝Evil・Sanctuary〟
悪魔の聖域と名づけられたこの酒場の、サラは一番若い歌姫だ。

タウルスの角に、エルフの耳。

ダブルだからこそ美しいその顔が目を伏せて、銀色の髪がサラサラと揺れる度、酒場の喧騒は時間を止めたように鳴り止んで、透き通るその声に耳を傾けた。
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