宛名のないラブレター



「なんか考え込んでるみたいだったから・・・声掛けちゃってまずかったかな?」

「い、いや。別にいいんだけど・・・」


そう?なんて笑顔で言うから俺は悩みなんて忘れてしまいそうだった。


「あのね・・・これ、良かったら食べて欲しいんだ。」


そういって渡されたマカロンは、色とりどりで綺麗だ。
でも、笑顔で渡してくれる朱里の方が

・・・綺麗。だ




くさい台詞と言われても仕方ないと思うが、本当に綺麗だ
もうこんな笑顔見れないのだろうか
そんなの嫌だ。
けど・・・





「なぁ・・・」



「・・・その笑顔、俺は好きだ・・・。」




その時の俺の声は震えていた。


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