宛名のないラブレター


分かってる。からこそ俺は・・・


「行くな。」




やっと言えた、大事な事。
咲夜の口から出たその言葉に朱里は震える唇を噛み締めた。
きっと彼女も泣くのを我慢してるんだろう
でももっと泣きたいのは俺の方だ。
俺は大事な人を失うんだ
大事な人がいなくなるんだ


「・・・・そんな事今更言わないでよ・・・・・ばか ・・」


朱里の声が震えてる。

「ぅ・・・あぅ・・・。ひっぅ」



泣くなよ泣くなよ泣くなよ





「・・・ごめんね。咲夜くん・・・・。」



そんな言葉聞きたくないんだよ。
俺が聞きたいのは

行きたくない。でもなくごめんね。でもなく

『頑張るね』


その一言が聞きたいんだよ・・・。


< 24 / 27 >

この作品をシェア

pagetop