宛名のないラブレター



俺は、我武者羅になって屋上へ走った。
途中階段でよろめいたが気にせず走る。走る。走る。

重たい扉を開くと、俺はバックから紙を取り出した。
そしてまた気持ちを綴った。
今の想いを感情を全て書いた

途中手が痛くなった。でもそんなの気にしない
今書かなきゃ

今・・・・書かなきゃ・・・・・・



「・・・・うっ・・・」


涙が紙の上に落ちる。今書いたばかりの字が滲む。
俺、この数週間で涙脆くなった気がするな。
毎日泣いてばっかりだ
男が泣くなんてカッコ悪いし気持ち悪いけど
無理だ
もうあいつのせいで・・・・
涙しか出ないよ


風で紙が飛ぶ。
手を伸ばしても届かない

「あ・・・・・」


不思議と取りに行こうなんて思わなかった。
立ち上がると空を見上げた

こんなに広い世界で、
彼女に出会えた

素直に喜ぶべきだ・・・・。


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