大地くんの天気予報
皆がガタガタと席に着く。
「申し訳ない。ちょっと遅れてしまいました」
先生はそう言うと、続けて言った。
「え~、昨日も言いましたが、今日はこのクラスに転校生がやって来ました」
教室中が、再び騒めいた。
陽太郎が、振り返って俺に期待の眼差しを送ってくる。
「……」
「では、入ってもらいましょう。どうぞ!」
先生がそう言うと、その例の転校生は、静かに教室の中に足を踏み入れてきた。
あれ…?
あの人、昨日の…。
俺の中で、昨日の藤棚の下の美人がよみがえる。
色白の肌、切れ長の瞳、肩にかかるくらいのきれいな黒髪…。
それと同時に、陽太郎がまくし立てていた、美しすぎるという言葉。
間違いない…、入ってきたその顔を見て、俺ははっきりと、それが昨日見たあの人であると確信した。
尋常じゃない、美人だった…。
ただ…。
一つだけ、どうしてもおかしなことがあった。
その美しい転校生は…、男子の制服を身に付けていたのだ。