大地くんの天気予報


皆がガタガタと席に着く。


「申し訳ない。ちょっと遅れてしまいました」


先生はそう言うと、続けて言った。


「え~、昨日も言いましたが、今日はこのクラスに転校生がやって来ました」


教室中が、再び騒めいた。


陽太郎が、振り返って俺に期待の眼差しを送ってくる。


「……」


「では、入ってもらいましょう。どうぞ!」


先生がそう言うと、その例の転校生は、静かに教室の中に足を踏み入れてきた。




あれ…?


あの人、昨日の…。


俺の中で、昨日の藤棚の下の美人がよみがえる。


色白の肌、切れ長の瞳、肩にかかるくらいのきれいな黒髪…。


それと同時に、陽太郎がまくし立てていた、美しすぎるという言葉。


間違いない…、入ってきたその顔を見て、俺ははっきりと、それが昨日見たあの人であると確信した。


尋常じゃない、美人だった…。




ただ…。


一つだけ、どうしてもおかしなことがあった。




その美しい転校生は…、男子の制服を身に付けていたのだ。


< 13 / 419 >

この作品をシェア

pagetop