大地くんの天気予報


「…それはもう、哲学とか、そっちの領域になっちゃうわな…。それを言っちゃあ、ならば恋とは何ぞや…!?って話になっちゃうからね。…同じ「好き」でも、嫉妬とか、欲求とか、そういう苦しみを伴うのが、恋。そして人間は、恋をするように出来ちゃってるんだから…、そこを追究しても、答えは出ないよ」


「うん…。でもさ、人として好きじゃなきゃ、恋にもならないよね、きっと…」


「…まぁ、そうだろうね」


「…大地はさ、清風くんのこと、人として好きなんだと思う。人として、魅力を感じてるんだと思う。だけど、私は…」


「…私は?」


「…大地を、そんなふうに夢中にさせられるものを、持ってない」


「……」




…そう。


私は、大地を人として惹き付けられるようなものを、きっと持っていないのだ…。


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