大地くんの天気予報
少しの沈黙が続く。
「…てか、どした?」
何か用事?というように、大地は私に聞いた。
「…ううん、別に。大地がいるのが、見えたから…。大地、この場所好きなんだね」
私は、何でもないふうを装ってそう言った。
「…あぁ。ここにいると、なんか落ち着くんだよな。…もう終わっちまったけど、藤の花が咲いてる時期は、特に…」
「藤の花…?」
私たちは、もうすっかり緑一色になってしまった藤棚を見上げた。