大地くんの天気予報


少しの沈黙が続く。




「…てか、どした?」


何か用事?というように、大地は私に聞いた。


「…ううん、別に。大地がいるのが、見えたから…。大地、この場所好きなんだね」


私は、何でもないふうを装ってそう言った。


「…あぁ。ここにいると、なんか落ち着くんだよな。…もう終わっちまったけど、藤の花が咲いてる時期は、特に…」


「藤の花…?」


私たちは、もうすっかり緑一色になってしまった藤棚を見上げた。


< 360 / 419 >

この作品をシェア

pagetop