大地くんの天気予報


ベンチに座り、そろえた足を伸ばしながら、藤棚の影の下で涼しそうにしている清風は、こちらの姿には気付いていないようだった。


俺は、ゆっくりと公園に足を踏み入れると、声をかけた。


「清風」


…清風は、パッと顔を上げた。


「…大ちゃん…!」


「…何やってんだよ、こんなとこで」


そう言いながら、俺は清風の隣に腰を下ろした。


「…うん、暇だったから、なんとなく散歩してたんだ…。大ちゃんは?」


「俺も。暇だったから、駅の方にでも行こうかと思ってたところ。そしたら通りがかりに、お前見つけてさ」


「…そうだったんだ」


そう言って、ニコッと笑う清風。


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