大地くんの天気予報


『沈む月』 絢‐aya‐




私が沈む頃に、あなたはまた、顔を出す。


私が顔を出す頃に、あなたはまた、沈んでゆく。




ねぇ、知ってる?


私に見えるのは、いつもあなたの後ろ姿。


あなたがいつも輝かしく、朝の光を散りばめている時、


私はいつも一人寂しく、


夕暮れの海に沈んでゆく、あなたの姿を見ているの。




私が知ってるあなたの姿は、


ただそれだけ。


その姿だけが、私にとっての、真実よ。




私の知らないあなたの光に照らされて、


そうして輝くくらいなら、


そんな光、私はいらない。




私は永遠に沈み続ける。


あなたの残像を、


いつもこの目に焼き付けながら、


私は永遠に、


沈むあなたを、追いかけ続ける…。


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