大地くんの天気予報


そしてそれ以来、美月は水面下で動くことになる。


美月は、恋人の男や日和に対して辛く当たるようになり、周囲からどんどん孤立してゆく。


それは一見、恋人の浮気から始まった、嫉妬や怒りの行為のように思えた。


当然、あんなに大切だった日和さえも、美月から離れていく…。




けれども…、誰も知らない、月さえ隠れて見えない静かな夜に、美月は一人、穏やかに微笑むのであった。


すべては、計算通りだったと。


自ら大切な人を引き離すことで、自分の存在をそこから消し去った。


恋人だったその男と日和の関係も深まり、美月がいなくなった世界は平和に回った。


美月はいつだって、表では悪に撤し…、誰も知らない裏側では、日和を幸せの方向へと導いていたのであった…。




照らされなくてもいい。


誰にも見えない、真っ暗な夜の闇に隠れて…、大切な日和が笑う、平和な世界を影で操り、傍観する。


それが、美月にとって、一番の幸せなのだと…。


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