大地くんの天気予報
「いやぁアヤちゃん、フウカちゃんが帰ってきたっていうからさぁ~、今日は嬉しくって会いに来ちゃったんだよ!」
エイサクさんのその言葉に、絢姉さんの目はあからさまに冷たくなった。
「まぁ、それは良かったですねぇ。…可愛い可愛い風花ちゃんのお顔が見られて…」
そう言うと、今度は僕の方を見て絢姉さんは言った。
「…風花、そんなに下向いてないで、そのお顔をもっと見せてあげたらどおう?」
…僕は、ゆっくりと視線を上げ、絢姉さんの目を真っ直ぐに見つめた。
絢姉さんも、しばらく僕を見つめると、やがて意地悪い笑みを浮かべて言った。
「…一年見ない間に、ちょっぴり成長したんじゃない?…前よりも、少し男の子らしくなったみたい…」
そう言う絢姉さんの顔は、一年前よりも更に大人びて見えた。
少しきつめの化粧をして、薔薇の花のように刺を増した、大人の表情…。
寿々喜風絢(すずき・かぜあや)。
この人は、僕より三つ年上の、先輩のお名取さん…、僕にとって、姉弟子に当たる人だ。
そして、それと同時に、昔から仲の良い、幼なじみのお姉さんでもあるはずだった…。