大地くんの天気予報
…そうして、しばらく目をつぶっている時だった。
サワサワと、心地よい風が通り過ぎていき…、俺は、なんだかすぐ近くに、人の気配を感じた。
ゆっくりと目を開ける。
上空には、咲き誇った藤の花たちが揺れている。
そして俺は仰向けのまま、そっと首を動かしてみる。
そこには、鈴木清風が立っていた…。
初めて見た時と同じ、ジーンズに、白い薄手のカーディガンを羽織って、音もなく、そこに静かにたたずんでいた。
その顔は、無表情だった。
特に笑っているわけでも、怒っているわけでもなく…、強いて言えば、少し寂しげな目をして、俺のことをじっと見ていた。
突然現れたコイツの姿に、俺は内心びっくりしながらも、それを表には出さずに、あえて平静を装った…。