大地くんの天気予報
かすかな風に髪をなびかせながら、その唇がゆっくりと動いた。
「…佐藤、大地くん」
「……」
こうして面と向かって話しかけられちゃあ、無視するわけにもいかない。
俺は、そっけなく返事をした。
「…何?」
「……」
少しの沈黙が続く。
…何だよ。
言いたいことがあるならさっさと言えよ。
「…あの、…ごめんね」
「……」
ごめん?
何がだよ。
「…何が?」
俺は冷たくそう言った。
また、少しの沈黙が続く。
「…その、なんか、気を悪くさせちゃったみたいで、僕のせいで…」
「……」
僕のせいで?
お前が俺に何したっていうんだよ…?
…俺はゆっくりと体を起こすと、目も合わせずにつぶやいた。
「…ますます気に入らねぇ」