大地くんの天気予報
「…うん、ちょっとね…」
そう言って、無理に笑顔を見せながら、キヨちゃんはカバンの中からティッシュと絆創膏を取り出した。
「…オレ、貼ってあげる!」
そう言ってオレは、キヨちゃんの人差し指の血をティッシュで拭き取り、絆創膏を貼ってあげた。
「…ありがとう」
「キヨちゃん、どうして指なんかケガしたの?」
「うん…、佐藤くんがね、何か重い荷物運んでたから、手伝おうとしたんだ。そしたら、かえって迷惑かけちゃって…。落ちたもの拾ってたら、トゲが刺さっちゃってさ…」
キヨちゃんは、顔を歪めながらヘヘッと笑った…。
「重い荷物?ダイチ、何運んでんだろう…?」
キヨちゃんは、絆創膏を貼った指先を押さえながら、「ありがとう、もう大丈夫だよ」と言った。
「…そうだキヨちゃん、シブヤさんのこともアレだけどさ、今日こそまた美術室行ってみようよ!永作先生に会えるかもよ…!」
「…あぁ、そうだね…!」
…そう言ってオレとキヨちゃんは、教室を出て美術室へと向かった。