各駅停車 ~あなたに会いたくて~【短編】
2チャンス
それから一月ほど経った日のことだった。



高校からの帰り、あたしは親友のゆり子に、何気なくあの男の子のことを話してみた。



話しを聞き終わると、ゆり子は両手をぽんっとたたいてこう言った。




「玲奈も、ようやく好きな人ができたんだね!」



「す、好きだなんて・・・、そんな・・・。」


 あたしはとまどった。



「だって、好きじゃなきゃ、毎朝会いたいなんて思わないよ。」



「えっ・・・、でもあたし、あの人のこと、全然知らないし・・・。一度もしゃべったことないし・・・、それに名前だって、知らないんだよ・・・。」


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