各駅停車 ~あなたに会いたくて~【短編】
「好きになるのに、そんなの関係ないじゃん。」


ゆり子は笑った。



「でもさぁ、好きっていうのは普通、その人のどういう性格とか、話したときに気が合うとか、そういうことで、好きになるんじゃないの?」


あたしはなかなか、自分の気持ちを素直に認めようとはしなかった。



「玲奈は多分、その人の雰囲気が好きなんじゃないの?」


ゆり子は、ずばり言い当てるように言った。



あたしは口をつぐんだ。




そうなのかもしれない・・・。


あたしはあの人の雰囲気が好きなのかもしれない・・・。


参考書やマンガを読んでいるときに、落ちてくる前髪を払う仕草・・・。


車窓から、まっすぐ海を見つめるときの彼の瞳が・・・。



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