各駅停車 ~あなたに会いたくて~【短編】
あたしの心臓がどきどきと激しく脈打つ。


気持ちが焦る。



早く・・・。


早くしないと・・・。



けれどもあたしの気持ちとは裏腹に、あたしの手は動こうとはしない。





涼はあたしのとなりから立ち上がると、あたしにそっと手を差し出した。



「大学で、絵をがんばれよ。」

涼はそう言って、優しく微笑んだ。



「うん・・・。涼くんもがんばってね・・・。」

あたしはポケットから手を出し、差し出された涼の手を握った。




「じゃあ、元気でな。」



「うん・・・。さよなら・・・。」


< 36 / 59 >

この作品をシェア

pagetop