各駅停車 ~あなたに会いたくて~【短編】
男の子はカバンの中から参考書のような物を取り出し、ぱらぱらとめくった。


黒い前髪が落ちてきて、目の上にはらりとかかる。




電車の中でも勉強なんて、真面目君かな・・・。



そんなことを考えていると、男の子は参考書を閉じ、今度はカバンの中から週刊ジャンプを取り出した。



なーんだ。マンガ好きの普通の男子じゃん。



 あたしは心の中で、ふふっと笑った。





マンガを読み終えると、男の子はマンガをカバンの中に仕舞い込んだ。


それから顔を後ろに向けて、窓の外を眺めた。



あたしも窓の外を眺めた。



そしてはっとした。
< 4 / 59 >

この作品をシェア

pagetop