ミッドナイトレイン
ミッドナイトレイン
今年は見事なまでの空梅雨だ
今日も例外なく、朝からサンサンと太陽の光が降りそそぎ、日中はそりゃもう真夏張りに暑かった
ところが、急に夕方頃からゴロゴロと空が鳴り、雲行きが怪しくなって
あっという間に久々の大雨
世間は恵みの雨だ、ときっと喜んでいるだろうけど

「雨女だーれ」
「…敦くん、こっち見すぎ…あたし晴れ女だもん」
「うそだ、奏ちゃんが一番雨女っぽい」
「…どういう意味…それ…」

マスターの趣味でジャズが流れる店内は、私たち三人とカップルが一組と、男二人組みだけだ。
平日ということもあるが、きっとこの雨のせいもあるだろう。
大体賑やかなこの店にしては珍しく静かだ

今日は昼のバイトの同期で馬があう三人で久々の飲み会を計画し、遅刻間の敦さえもが時間きっちりに集合した
今日の会場は私の夜のバイト先のカフェバー「Dick Cafe]
待ち合わせた場所から、さてじゃぁ移動しますかとなった瞬間にこの雨だ
待ち合わせ場所からDIckCafeまでは徒歩5分くらいの道だが、ギャーギャー言いながらその道を三人で走ってすっかりビシ濡れになってしまった

「まぁまぁ、ほら二人ともグラスすすんでないぞー!!」

雨女問題でギャーギャーと論争するあたしと敦君をなだめて、真ん中に座っていたケイコが両隣のグラスをそれぞれに差し出す
あたしも敦君も、それを受け取って
そしてケイコも自分のグラスを手にとった

「はい、カンパーィ!!」

本日何度目かの乾杯
うちらの飲み会のルール、乾杯したら即一気
そもそも、この三人が何かと仲が良いのは「飲める」という共通点もかなり影響している
他の同期の子も何人かいるけれど、飲み会のときは皆が皆口を揃えて
「えー、お酒飲んだら顔赤くなるから嫌だー!!」
と、いまどきのオンナノコ独特の口調で言うんだけど
そんな子達を尻目に、乾杯ビールを三人同時に一気飲みしたことからこの仲良し三人組が生まれた

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