ミッドナイトレイン
気がついたら、あたしは小さく寝息に合わせて揺れる淳くんの胸に頭をおいて
ドク、ドク
彼の心臓の音が聞こえる
その音と、彼のぬくもりがやけに心地よくて
そのとき、少しだけ彼の胸が大きく揺れて
次の瞬間、淳くんの大きな手があたしの頭を優しく撫ぜた

「どうしたの?」

その声がとっても優しくて、
その手がとっても暖かくて
胸がギュッてなる
彼女と勘違いしてるのかもしれない
それでもよいからしばらくこのままでいたかった



神様、ごめんなさい
淳君の彼女ごめんなさい
今だけ、今だけ許してよ



大分長いような
でもすごく短いようなそんなひと時だった
淳くんはまた規則正しい寝息をたてて
あたしは大分落ち着いていた
多分、もうそろそろタイムリミット
3時が過ぎた
彼女のところに帰さなくちゃ

帰さない、理由はきっと無かった



「淳ぃぃぃ!!!いい加減起きなさいってば!!!!」

顔をあげて、泪を拭って
淳くんの耳元でそう叫ぶと、思い切り彼の肩を揺すった

「うー」

淳くんが小さく呻く
そして、意外と素直にその目が開かれた

「お、起きたじゃん!!ほら、帰るよ!!彼女が泣くよー!!」
「…いやだーねむい」
「ばーか!!ほら、おきんか!!」

< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop