恋心―短編集―
「智希と何かあった?」



 あたしはそっと頷いた。



 声が出ない。



「智希…。いつも、みんなが冗談半分で別れてみろって言えば、激怒して拒むのに別れた?!」



 激怒するの??



 そんなに想ってくれてたのに?



「舞、ちょっと待ってて。絶対そこにいろよ」



 傘をあたしの手に残して、慧は走って行った。
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