幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ホークとはいつも気安く言い合っているあたしだけれど、今までこんな捻くれた口をきいた事はない。


「言い方が悪かったようだ」

ホークは何事もなかったかのように言った。

「体調がいいなら、今日はわたしの仕事を手伝ってくれないか?」


「何をすればいいの?」


「帳簿の確認をしてくれないか? 数字が合っているか確かめてくれればいい。その間に、わたしは手紙を書ける」


「いいよ」


「その後、アルス村へ行きたいのだが?」


「行ってらっしゃい」

あたしも行く必要はないよね?


「アレクサンドラ」

ホークは忍耐強く言った。

「一緒に行こう」


あたしは少し迷った。

どうして迷っているのか、自分でも分からない。


ショーンやローズマリーに会うのがつらいから?

ううん。そんな事ない。

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