幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたしは、ミリーが焼いてくれたパンにかぶりついた。

干し葡萄と胡桃が入っていた。

普段食べるものにしては贅沢過ぎる。

あたしは、ミリーにも心配をかけたのだろうか。


顔を上げるとホークと目が合った。

ホークはあたしの答を待っている。


「やっぱり、一緒に行こうかな」


「そうなさい」

母が明るく言った。

無理に作ったような明るさだったけれど。


またしても違和感――


あたしが寝込んでいる間に、世界が丸ごと変わってしまったかのようだ。


ホークは笑みを浮かべた。


あまりにも微かな笑みで、他の人には分からないだろう。

でも、あたしには――物心つく前からずっとホークといたあたしには分かる。


胡散臭い……


「ホーク、何か企んでる?」

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