幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 2

ホークと一緒に伯爵邸に行くと、先代伯爵夫人がミリーと一緒に出迎えてくれた。


「まあ、サンディ! もう具合はいいの?」


またか!

ジャルグのお陰で、すっかり『ひ弱』ってレッテルを貼られた気がする。


引きつった笑みを浮かべて、もう大丈夫だと答える。

この分だと、アルス村へ行っても同じ目に合いそう。


「だから早く顔を見せた方がいいんだ」

執務室で帳簿を広げながら、ホークが言った。

「引き伸ばせば伸ばすほど憶測を生む」


「悔しいけど、ホークの言う通りみたい」

あたしはそうぼやいて、帳簿に目を通し始めた。


家令のマクスレイさんは実直な人で、きっちりと帳簿をつけていた。

どの数字もおかしなところはない。


「ねえ、ホーク」


「何だ?」


「この『税』って何?」

< 107 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop