幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ホークの執務室を出て、階段を下りる途中で、ミリーが一階の部屋に入って行くのが見えた。


先代伯爵夫人が居間にしている部屋だ。


ミリーの後を追って部屋の近くまで行くと、開いたままの入口から先代伯爵夫人のよく通る声がした。


「ホッとしたわ。あのバカ息子には散々ヤキモキさせられたけれど」


バカ息子?

ホークの事?


あたしは口元を押さえて笑いをこらえた。


「上手く行きますかねぇ?」

これはミリーの声。


「もちろんよ」

と、先代伯爵夫人。

「断る訳がないわ」


「わたしが言うのは本人達の事ですよ、奥様。親と結婚する訳じゃありませんからね」


どうやら、ホークの縁談の話をしているらしい。

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