幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
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アルス村は五月祭の準備で賑わっていた。
五月祭を境に季節は寒季から暖季に変わり、放牧と種蒔きが始まる。
その年の豊作を願って、豊饒の女神ベルを迎える儀式を行うのが五月祭だ。
女の子達は十二歳になると、祭の当日に女神ベルを模して、緑のドレスを着て花冠をかぶる。
特に十五歳の少女は『五月祭の女王』と呼ばれ、幸運をもたらすと言われる。
「あたし、今年は緑のドレスを着ないわ」
ローズマリーが言った。
「婚約しちゃったし」
「じゃあ、あんたが今手直ししてるドレスは何?」
あたしはローズマリーが手にしてる緑の布の塊を指差した。
「メガンのよ。今年は『女王』なの」
メガンはショーンの妹だ。
「『女王』の年にお古のドレス?」
「これ、覚えてない? あたし達が十五の時のドレスよ。特別な年だからって、伯爵様があんたとお揃いであたしの分も作って下さったドレス。極上品だから着たいってメガンが言うの」
五月祭を境に季節は寒季から暖季に変わり、放牧と種蒔きが始まる。
その年の豊作を願って、豊饒の女神ベルを迎える儀式を行うのが五月祭だ。
女の子達は十二歳になると、祭の当日に女神ベルを模して、緑のドレスを着て花冠をかぶる。
特に十五歳の少女は『五月祭の女王』と呼ばれ、幸運をもたらすと言われる。
「あたし、今年は緑のドレスを着ないわ」
ローズマリーが言った。
「婚約しちゃったし」
「じゃあ、あんたが今手直ししてるドレスは何?」
あたしはローズマリーが手にしてる緑の布の塊を指差した。
「メガンのよ。今年は『女王』なの」
メガンはショーンの妹だ。
「『女王』の年にお古のドレス?」
「これ、覚えてない? あたし達が十五の時のドレスよ。特別な年だからって、伯爵様があんたとお揃いであたしの分も作って下さったドレス。極上品だから着たいってメガンが言うの」