幻獣のタペストリー　～落ちこぼれ魔導士の召喚魔法～
一瞬、ローズマリーが羨ましいと思った。


いつか

もう一度あたしにも、好きになれる人が現れるんだろうか。

今度はその人も、あたしを好きになってくれるんだろうか。


真面目に考えれば考えるほど、有り得ない気がした。


「ねぇ、まだ帰らなくていいんでしょ？」


ローズマリーの声に、あたしは物思いから覚めた。


「うん。ホークの用事次第だけど。今、ショーンのお父さんの所に行ってるんだ」



でも、ホークはなかなか戻らなかった。


あたしとドレスの手直しを終えたローズマリーは、日が傾きかけた鍛冶屋の店先に空いている作業台を持ち出して座った。

奥に目をやれば、ローズマリーのお父さんとショーンが仕事をしているのが見える。

ローズマリーがあたし達の間に篭をドンと置いた。


「何、これ？」

あたしは篭の中の羊毛の塊をつまみながら聞いた。


「羊毛。藁くずを取るのよ」

と、ローズマリーが答える。

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