幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 4

「ドレスがどうかしたのか?」

鍛冶屋を出ると、ホークがあたしに聞いた。


「ああ……五月祭のドレスの事だよ」


「仕立ててあるぞ」


やっぱり?


「仮縫いをした覚えがないんだけど」


「去年とたいしてサイズは変わらんだろう」


たぶんね


「何か問題でも?」


「ちょっとね。たいした事じゃないの」


ホークが怪訝そうな顔をした。


「ローズマリーは婚約したから、今年は緑のドレスを着ないんだって。そうなるとね、あたしが――えーと、なんとかみたいで」


「まだ『行き遅れ』という年でもあるまい?」


ハッキリと言ってくれるわね。


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