幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「大方、ミリーが気を利かせたのだろう――こちらは何だ?」

「肉詰めパイよ」


あたしが答えると、リーが獲物を見つけた狼よろしく近づいてきてパイをつかみ取った。


「美味い! 確かに女神が降臨したようだ」


あたしはホークの後ろにじりじりと下がった。

リーの笑顔はどう見ても狼が口を開けたようだ。


「俺は女神に好かれてないようだ」

リーは口をモゴモゴとさせながら言った。


「見る目があるのさ」

マクリーンが笑う。


「ぬかせ。ホークだって俺と似たようなものじゃないか。まあ、幾分上品だが」

「この娘っ子は、ホークの巣穴で育ったんだ。だからホークの事は、でかい飼い犬くらいにしか思っていない」

「そいつはすげえ」


「二人ともいい加減にしろ」

ホークが笑いながら言った。


「えーと……もう下がっていいかしら?」

あたしは小声でホークに言った。

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