幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 2

朝日が眩しい。


まだ目覚め切らない頭が、どこからか聞こえてくる先代伯爵夫人の言葉を理解しようとしている。


「サンディをこんな場所に寝かせて、何を考えているの!」


「去年も、その前の年もここで寝ていましたよ」

うんざりとしたようなホークの声も聞こえる。


「結婚前の若い娘なのよ」

「まだ子供ですよ」

「あなたが、いつまでたっても子供扱いするからではありませんか。レディとして扱えばレディになります」

「このアレクサンドラが?」

「ええ、そうですよ……おそらく、ね」


先代伯爵夫人は急に弱腰になった。

いったい、何がいけないと言うんだろう?

あたしは両手を上に上げて伸びをすると、渋い目を開けた。

先代伯爵夫人があたしを見下ろしている。


「おはようございます、奥様」


「おはよう、サンディ」

先代伯爵夫人はニッコリとして言った。

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