幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「今、来るよ。お菓子を漁りに行ったんだ」

「取りに行ってあげなかったの?」

「馬鹿言うなよ。相手はローズマリーだ。自分で選びたいに決まってる」


あたしとショーンは顔を見合わせてプッと笑った。


不思議。

ショーンと二人っきりでいても、以前と全く変わらない気がする。


「ねえ、あたし、あなたに失恋したのに全然つらくないわ」


思わず言うと、ショーンは優しく微笑んだ。


「やっと気づいた? 君は、ローズマリーと二人で僕の愛情を分け合ってると思っていたんだろうけど――」


違う


「あたしとあなたで、ローズマリーの愛情を分け合ってたんだね」


ショーンは頷いた。


「大丈夫。これからも、ローズマリーの一番の親友は君だよ。ああ……ほら、彼女が来た」


振り向くと、青いドレスのローズマリーが手を大きく振った。


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