幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「あれは、あたしがボーっとしていたのが悪かったの。あたし、魔導士には向いてないんだよ、きっと」


「そそっかしくはあるが、向いていないとは思わない。爆発を引き起こすほどの魔力があるのだから。お前の姉君は違った。だから、薬士の修業をさせたのだ」


意外だった。

あたしのお姉ちゃんのエリザは立派な薬士で、治療士と結婚して王都に住んでいる。

お姉ちゃんにひきかえ、あたしはダメだってずっと思っていた。


「お前がいつも上の空なのは、ショーンが原因なのか?」

「えっ? ショーンのせいって?」


ホークは有名な恋歌の歌詞を口にした。

――若い娘は好きな男の事で心がいっぱい


「最近は、暇さえあれば村に入り浸っているようだしな」


それは織物を習っているから。

でも、ホークには言えない。


「アルス村が好きなんだもの。ローズマリーは親友だし、ショーンは……素敵よ」

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