幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「あたしが戻って来るまで、子供達を見ていて。いい? 絶対に開けないでよ」


ドレスの裾を持ち上げて走り出そうとした時、納屋の方から叫び声がした。

絶叫と言った方がいいかもしれない。

子供達は怯えてショーンにしがみついた。


「サンディ?」

ローズマリーも青ざめてあたしを見た。

「早くしてね」


広場に向かって走り出したあたしの耳に、もう一度納屋の中から悲鳴が届いた。

それから一拍置いて、ローズマリーを止めるショーンの叫び声も――


「しまった!」


あたしは踵(きびす)を返して、駆け戻った。


納屋の扉が少し開いている。


「サンディ、ローズマリーが!」

子供二人にしがみつかれたままのショーンが叫ぶように言った。


「分かってる!」

あたしは納屋に向かって走りながら、腰の飾り帯に巻き付けてあった小さな布を引っ張り出した。

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