幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ルーが叫び声を上げて顔を覆った。

老女の口元が裂け、そこから鱗に被われた蛇の頭が見え始めた。


――クソッ! 脱皮が始まった!

「燃やして!」

――ダメだ。外皮が焼け落ちれば、かえって脱皮が早まる

「嘘っ! じゃあ逃げる!」

――間に合えばな


あたしは、叫び続けているルーを引きずるように引っ張り、出口へと向かった。

後少し――そう思った時、あたしの上に影がさし、空を切るような音と共に、目の前に巨大な蛇が飛び下りて来た。


本物のヒュドラだ。


鎌首を持ち上げた姿は、大人の男ほどの高さがある。

七つある頭はどれも鋭い牙をむき出しにしていた。牙の先から滴るのは毒液だろうか、ルーの血よりもさらに濃い臭いが辺りに充満した。

ただ脱皮は完全に終わっていないらしく、地面に接した所から後ろは老婆の体のままだ。


「ジャルグ、あれに噛まれたら即死だよね?」

――言いたかねぇが、三日三晩のたうちまわってから必ず死亡、だ

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