幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「どうすんのよっ!」


――焦んな


ジャルグは、あたし達の前に炎で壁を作った。


――長くはもたねぇぞ。嬢ちゃん、ドラゴンの召喚呪文を覚えてるか?


「覚えているけど……無理だよ」


召喚なんてできっこない。


――情けねぇ台詞を吐くんじゃねぇよ。あんた魔導士だろ。そこの小僧っ子を守るんじゃなかったのか


あたしは膝を抱えて泣いているルーに目をやった。


ホークが来る。

もうすぐ来てくれる。

絶対に。

それまで頑張ればいいだけだもの。


「やるわ。でも、魔法陣は分からないよ」


――どうせ、嬢ちゃんには魔法陣なんて無駄だ。オイラの布があるだろ? そいつをあの馬鹿でかい奴に向けてやれ


あたしは帯から布を外した。
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