幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたしが織った小さな布。

今そこには、黒い半開きの扉があるだけだ。


これ、ドラゴンにも効くのかな……


深呼吸を一つ。


「開け異界の門よ

 届け我が呪い(まじない)、英知の光よ

 時を超え、空を超え

 我召喚す

 魔術の神、異界の主、偉大なるトーンの名において

 来たれドラゴン

 幻獣の王よ!」


両手の間で、張り詰めた布が震えた。

振動は次第に大きくなり、空気までが震え出した。


「ジャルグ、これ!」


――しっかりと持って、ヒュドラに向けろ!


あたしの指先でパチンと火花が散った。

火花は震える空気を弾けさせ、共鳴し、巨大なエネルギーの固まりとなった。

あたしはやっと、ジャルグがあたしに何をさせようとしているのか気付いた。

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