幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ヒュドラの頭が、ジャルグが作った炎の壁を越えて来た。

甘ったるい臭いを漂わせながら、七つの顔がうねりながらあたしを見下ろした。


「アレクサンドラ!」


いきなり、大蛇の向こうから、あたしの名前を呼ぶ声がした。


「無事か? どこにいる?」


ヒュドラの頭が何個か、後ろを振り向いた。


ホーク?

しまった! もう止める事は出来ない。


空気の震えは極限まで大きくなっている。


「ホーク! 伏せて! お願い!」


次の瞬間、爆音と共にあたしは後ろに飛ばされた。

地面にたたき付けられる前に、ジャルグがあたしの下に回り込んで受け止めてくれた。

細かく粉砕された木の破片が降って来る。

見上げると、半分吹き飛んだ屋根から青空が見えた。


――上出来だぜ

ジャルグが言った。

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