幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「ジャルグ、あんた、あたしがドラゴンを召喚できないのを分かっててやらせたわね」

あたしは笑った。


――悪くなかったぜ。ドラゴンが通り抜けるには、あの<扉>は小さすぎたってだけでさ


「最低」

あたしは体を起こした。

「ルーは無事?」


――あそこにいるな

ジャルグはルーの側へ行った。

――気絶しているだけだ


よかった


あたしは上を見上げて、安堵のため息をついた。


その時、パキッと小さな音がした。

次の瞬間

瓦礫を押し退け、黒い影があたしの上にさした。


ヒュドラだ。


あの爆発を耐え、一本だけ、首は生き残っていた。

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