幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
大蛇はなぶるように、あたしの目の前に顔を寄せた。

甘ったるい毒の臭いが鼻を突く。

もうダメだ――そう思った時、ヒュドラの背後で何かが光った。

あたしの前に大蛇の頭が落ちて来て、地面の上を転がった。

思わず後退りすると、ヒュドラの大きな体が音を立てて倒れ、その上に、抜き身の剣を携えたホークが立っていた。


「無事か?」

ホークが心配そうに言った。


あたしは、泣きたいのを我慢しながら頷いた。


「血が出ているぞ」

「これは、ルーの血よ」


ホークは剣を鞘に収めて近付くと、あたしを固く抱きしめた。


「一人でよく頑張った」




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