幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ニセモノ修道女

 1

まるで奇妙な影絵芝居を観ているような気がした。


納屋の外に出ると、ダニエル·マクリーンが大きな手で『よくやった』とあたしの頭を撫で、ローズマリーに付き添っていたショーンが『無事でよかった』とあたしを抱きしめた。

ローズマリーは、医術の心得があるというアーサー·リーに診てもらっていた。


「処置が早くてよかった」

リーが言った。

「視神経がちょっとやられたようだけど、命に別状はないよ」


「視神経って?」

あたしは聞き慣れない言葉に不安になった。


「目が見えないの」

ローズマリーが言った。

ローズマリーの目には、布が巻かれていた。

「でも毒が抜ければ、少しずつ見えるようになるって」


「さっきも言ったように、完全に元に戻る事はないよ」

リーが言った。


「ええ。でも命は助かったわ。サンディ、あんたの手を握らせて」

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