幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたしはローズマリーの脇にひざまづいて手を握った。


「助けてくれてありがとう」


あたしは声が出せなかった。


「やあね、笑って。サンディの言うことをちゃんと聞かなかったあたしが悪いのよ。でも、あんたは危険を顧みないで助けに来てくれた。お陰で助かったわ」


違う……違うよ


間もなく駆け付けたローズマリーの両親も、村の人達も、口々にあたしに労いの言葉をかけた。


ローズマリーは担架に乗せられ、家に運ばれた。

治療が必要なルーも、ローズマリーの家で面倒を見てもらう事になり、ルーの弟と妹は別の村人が預かる事になった。

そして、薬を調合するために、あたしの母が呼ばれた。


「毒抜きのために、三日間は集中的に治療する必要があるわ」

母は、ローズマリーとルーの様子を見て言った。


「あたしも手伝いたい」


「サンディ、あなたはもう十分頑張ったわ。後はお母さんに任せてくれないかしら」

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