幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 3

村の外れまで来ると、ホークは馬を繋いでいる家に入って行った。

この家には、老女とまだ小さな三人の孫が住んでいる。

暮らし向きは決して楽ではないはずなのに、おばあちゃんは施しをよしとしない。

だからホークは必ずこの家に馬を預け、謝礼のお金を置いていったり、簡単なお使いを子供達に頼んではお駄賃を渡す。

ホークは公平で優しい領主だ。


「ねえ、サンディお姉ちゃん」

一番末っ子の女の子があたしのスカートを引っ張る。


「なあに?」

「お花いらない?」

「あら、きれいね。ママにプレゼントしたいわ。売ってくれる?」

あたしは、小さな花束に相応しいだけのお金を握らせた。


「優しいな」

手綱を引いて戻ってきたホークが、からかうように言った。


「師匠の真似をしただけよ」

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