幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
――お休み、嬢ちゃん

ジャルグの声が遠く聞こえた。

――落っこちないように、ちゃんと見ていてやるよ


ゆらゆら ゆらゆら

まるで揺り篭のよう


金色の瞳の男の子が、揺り篭の縁からあたしを見てる。


『こんなに小さくて大丈夫なの?』

男の子が後ろの誰かに向かって言った。

それから優しい手が、あたしの頬を撫でた。

『たくさんミルクを飲んで眠れば、大きくなるんだって。あ……ああ、泣くなよ。ほら、いい子だね。僕がずっと側にいるよ。お休み、僕のアレクサンドラ』


――ホーク?


目をパチッと開くと、あたしはまだエーンバルの背で揺られていた。


「変な夢……」

あたしは、あくびをしながら呟いた。


――起きたかい? もうすぐ夜明けだぜ

ジャルグが肩の上で言った。


確かに空が明るくなり始めていた。

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