幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ホークは深いため息を一つつくと、馬を歩かせた。


「わたしは男のうちに入らないのだな」

「ホークだってあたしを女の子だなんて思ってないでしょ?」


ホークは返事をしない。

あたしは何だかきまりが悪くて、一人で言葉を継いだ。


「ねえ、本当に何の用事だったの?」

「アレクサンドラ、話がある」

「はい?」

「お前にとっては――

ホークが何を言いかけたにしろ、その言葉は宙に消えてしまった。

「――客人のようだな」


あたし達の少し前を行く、騎馬の人達が見えた。

十人くらいだろうか、いずれもフード付きの長いマントを着た旅装束だ。

暗い灰色マントの集団の中に、一人だけ、鮮やかな青いマントの人がいる。

この道の先には伯爵家の屋敷しかない。

それと、あたしの家――あたしの家は、伯爵邸の地所の中にある。

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