幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたし達は手回りの荷物を持って、二つ目の城門をくぐった。

ここから先は、一般の人間は立入禁止なのだという。


暗く静まり返った回廊を通り、大きな扉を開くと、そこが礼拝堂だった。

吹き抜けの高い天井近くに、青い硝子をはめ込んだ明かり取りの窓が並んでいて、光がそこからいくつもの束になって差し込んでいる。

不思議なほど装飾的な物がなく、正面の祭壇も質素だった。


あたし達は、坐り心地の悪い木のベンチに並んで腰掛けた。

引率の尼僧に言われるまま、指を組んで手を合わせる。

正面の祭壇前に尼僧が一人、こっちを向いて立った。

ボソボソとした祈りの言葉の後に、礼拝堂にいた全ての尼僧達が詠唱を始めた。

少し抑揚のある祈りの言葉が重なり合い、響き渡る声は、まるで音楽のように聞こえた。

荘厳ささえ漂うその音楽に隠れて、あたしのお腹がグウッと鳴った。


お腹減ったぁ……


ホークは厳しい所もあるけれど、空腹のあたしに魔法修業をさせるような事は絶対にしなかった。


ユニコーンの召喚呪文を見つけたら、すぐにでも帰ってやる!

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