幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
もう一つのは、同じような暗い回廊に繋がっている。

最後の出入口の向こうは、明らかに別世界で、真っ白な壁と色とりどりのタイルで装飾された床が見えた。


「あちらは何ですの?」

ロザリンドが、興味津々といった感じで尋ねた。


「あの先は瑠璃宮です」

尼僧はそれで全ての説明がつくとばかりに言った。


実際、あたし以外は瑠璃宮が何か知っていたようで、三人とも急に浮足立ったようになった。


あの先に何があると言うのだろう?


ジェニスタが邪魔でよく見えない。

あたしは少し横にずれて、奥の方を見ようと目を凝らした。


青い物がチラリと見えた。


胸がざわつく。


あたしは静かに瑠璃宮への入口に近づいた。


白い廊下の突き当たりの壁に、色鮮やかな絵が描かれている。


いや、違う。

< 196 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop