幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

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近くで見ると、それが三枚のタペストリーを繋ぎ合わせた物だと気付いた。

縦は腰の高さから天井まで。横幅は6ヤードほどだろうか。

濃い青色の背景の中央に、裾の長い純白の服を着た黒髪の貴婦人と、黒い鎖帷子(くさりかたびら)を身につけた銀髪の貴公子がいる。

貴婦人の横にユニコーン、その隣にはエーンバルの姿が織り込まれていた。

反対の貴公子側にはドラゴン、そしてサラマンダーだ。

中央の上部には、翼を広げたフェニックスもいた。

中央の二人の背後には、大きく開かれた門があり、その先は海に浮かぶ城塞だった。


それは魔法のタペストリーだった。

あたしのとよく似た魔法を織り込んで作られていた。

けれど、それ以上にあたしを惹きつけたのは、タペストリー自体の美しさだった。


どうやったらこんな細かい模様になるのだろう?


バランスのとれた構図

生き生きと描かれた幻獣達

鮮やかな色合い

――どこをとっても、胸が熱くなるほど憧れてしまう


こんな美を生み出したい。

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