幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたしはタペストリーの間近まで近寄った。
畏怖の念が強すぎて、触れることはできない。
よくよく見ると、それぞれの幻獣の下に幻獣の名と召喚呪文が、古い時代の文字で綴られていた。
あたしは文字を目で追った。
貴婦人の下には『ラドリーン』、貴公子の下には『アスタリス』とある。
「きっと名前だわ」
あたしは呟いた。
名前の下には装飾文字が並んでいる。
これも古い文字だ。
「我が願い……」
「そなた、その文字が読めるのか?」
後ろから話し掛けられて、あたしは我に返った。
振り向くと、深い緑色の長いチュニックを着た若い女性があたしを見ていた。
面長の優しい顔立ちの人だ。
女性は白いベールを、凝った細工の銀のサークレットで留めていた。
あたしとそんなに違わない年頃に見えるけれど、ベールをつけているということは、既婚者だろうか?
ベールの端から見える巻毛はジェニスタよりも赤みの強い赤銅色だった。
畏怖の念が強すぎて、触れることはできない。
よくよく見ると、それぞれの幻獣の下に幻獣の名と召喚呪文が、古い時代の文字で綴られていた。
あたしは文字を目で追った。
貴婦人の下には『ラドリーン』、貴公子の下には『アスタリス』とある。
「きっと名前だわ」
あたしは呟いた。
名前の下には装飾文字が並んでいる。
これも古い文字だ。
「我が願い……」
「そなた、その文字が読めるのか?」
後ろから話し掛けられて、あたしは我に返った。
振り向くと、深い緑色の長いチュニックを着た若い女性があたしを見ていた。
面長の優しい顔立ちの人だ。
女性は白いベールを、凝った細工の銀のサークレットで留めていた。
あたしとそんなに違わない年頃に見えるけれど、ベールをつけているということは、既婚者だろうか?
ベールの端から見える巻毛はジェニスタよりも赤みの強い赤銅色だった。