幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
落ち着け、落ち着け


「アレクサンドラ」


「はい、院長様」

院長に名前を呼ばれ、あたしは背筋を伸ばした。


「食事を終えたら、ジェニスタと共に瑠璃宮へ行きなさい」


「あの……それは?」


「王妃様のたっての御希望です」

院長は微笑んだ。

「失礼のないように」


はぁ……

何だろう?


「どうして、あなたまで呼ばれるのよ」

ジェニスタは不機嫌そうに小声で言った。


聞くと――というか、一方的に聞かされた話によると、ジェニスタの母上は王妃様の国の出身で、その繋がりからジェニスタを王妃様の話し相手に、という話が舞い込んで来たのだと言う。


道理で彼女がお高くとまっているはずだ。

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