幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたしだってこんな綺麗な髪だったら自慢するもの。


それにしても『イアン』って……


この辺りでホークを『イアン』と呼ぶのは、先代伯爵夫人くらいだ。

王でさえ『ホーク』と呼ぶって聞いている。

特別親しい間柄ってこと?


「何だ、レディ·クリスタルか」

ホークの声が耳元で聞こえる。

どうやら、あたしの顔の横から前を確かめているらしい。


「まあ、ご挨拶ね」

レディ·クリスタルと喚ばれた女性は、可愛らしく口を尖らせた。

「しばらく王都に顔を出さないと思ったら、村娘を相手にお戯れ?」


「悪いが、これはわたしの弟子だ」

ホークは冷たく言った。


「あら、失礼」

レディ·クリスタルは艶やかな笑みを浮かべた。

「ずいぶんと可愛らしいお弟子さんだこと」

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